世界グランプリの競技規則変更
2025/05/07
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、グランプリコミッションと世界グランプリ(MotoGPシリーズ)の競技規則及び技術規則の更新に関して協議し、承認したことを5月6日付けで発表した。
決勝レースのスタート手順、MotoGPクラスの負傷ライダーの事前テスト規則、MotoGPクラスの2027年仕様マシンのテスト、Moto2クラスとMoto3クラスのワイルドカードエントリー数に関して改定が行なわれた。
■決勝レースのスタート手順
アメリカズGPのMotoGPクラス決勝スタート前に起った問題に対処するスタート手順については、グリッドを離れるライダーとグリッドに並ばないライダーにペナルティが科せられるようになり、技術的な理由でライダーがグリッドを離れる場合と天候によるタイヤ交換のためにグリッドを離れる場合の区別がなくなる。これは全クラスで即時施行される。
ライダーが何らかの理由でグリッドを離れる場合、ウォームアップラップをピットレーンからスタートし、元のグリッドポジションに戻り、レース中に通常のダブルロングラップペナルティを受けなければならない。これは、グリッドに合流しないライダーにも適用される。
これまでの規則では、ウォームアップラップを実行しない場合、ピットレーンからレースをスタートしなければならなかったが、MotoGPクラスでは、ライダー1名に対して2台のバイクを準備されているため、これらの全ての場合において、バイクの交換が許可されている。
ピットレーンからレースをスタートする場合のこれまでのタイムディレイペナルティは現行のままで変更されない。さらに、ピットレーンからレースをスタートできるライダーの上限は最大10名までという現行の制限も維持される。なお、これはウォームアップラップには適用されない。
ライダーがグリッドを離れる理由が、純粋に技術的な問題によるものか、それともバイクやタイヤのセッティング変更によるものかを判断することは不可能であるため、どちらの場合もペナルティは同じでなければならない。新しい規則はファンや観客を含む全ての関係者にとって規則を分かりやすくする一方で、正しいタイヤ選択をしたライダーのアドバンテージを維持する。
■MotoGPクラスの負傷ライダーの事前テスト規則
MotoGPクラスにおける負傷ライダーの事前テスト規則は、負傷により様々なイベントを欠場したライダーに、MotoGPマシンを使ったテストを実施する機会が直ちに与えられ、競技復帰に向けた身体的な準備を助けるためのもの。これはMotoGPクラスのライダーのみに適用され、テストの実施は必須ではない。これは今シーズンのセパンテストで負傷し、開幕3戦を欠場し、テストなしで実戦復帰を余儀なくされたホルヘ・マルティンのような例に対処した変更となる。
この規則が適用されるには、シーズン中に3度以上連続してイベントに欠場するか、少なくとも45日間連続してイベントに参加できていないことが条件となる。イベントとは、グランプリまたは1日を超える単独のオフィシャルテストを指し、グランプリ開催後の月曜日に実施されるテストとシーズン終了後に実施される1日のテストは、それぞれが開催されるグランプリの一部としてカウントされる。
シーズンとは、プレシーズン最初のオフィシャルテストからシーズン最後のグランプリまでと定義される。イベントへの参加とは、オフィシャルイベント中にピットレーンから1回出ることを意味する。
1日のテストは、メーカーがコンセッションルールおよび、またはテストサーキットの選択(該当する場合)に従ってテストを許可されているサーキット、または同じシーズン中に当該テスト後にグランプリが開催されないサーキットで実施する必要がある。ただし、いかなる状況においても、同じサーキットで開催されるグランプリの8週間前までは、このテストを実施することはできない。使用されるタイヤは、メーカーのテストチームの割り当てにカウントされ、最大3セットのタイヤが使用可能。
■MotoGPクラスの2027年仕様マシンのテスト
2027年から850ccとなるMotoGPマシンのテストに関しては、メーカー間で2025年シーズン中に2027年仕様のバイクをテストしないことで合意済みとなっており、2027年仕様のバイクのテストが可能となるのは、2025年11月17日以降のみとなる。
■Moto2とMoto3のワイルドカードエントリー数
Moto2クラスとMoto3クラスのワイルドカードエントリー数については、複数のイベントに参加を希望するライダーに対し、ワイルドカードの機会を最大限に増加させるのではなく、フルエントリーを目指すよう促すため、Moto2及びMoto3クラスのワイルドカード出場枠に新たな制限を設ける。新しい制限は、ライダー1人あたりシーズンに3回。さらに、各チームのワイルドカードの割り当てはシーズンあたり最大3回に制限される。
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