「モノづくり」だけではない「コトづくり」と自社のストーリーを届けたい。
2018/10/22
どんな走りを求めるのか、その思いを理解する
大内田:いま我々が行なっているのは、「ものづくり」とともに、「ことづくり」というか、私たちのストーリー作りとして、さまざまなサービスをやっていこうということです。
サーキットがすぐそこにあって、転倒したり、何か困ったことが起きたとき、すぐにリペアする。
サイレンサーの音量に問題が生じれば、リペアして車検を通すなど、そういったことを一般ライダー向けに供給できたらと考えているんです。
例えば、シャーシダイナモのサービスでは、パワーチェック、アクセル開度測定の意味も皆さんに知っていただきながら、これまで対外的にはやっていなかったことを、一般向けに開いています。
貸し切りにはなりますが、サーキット走行前に慣らし運転もできますので、サーキットに入ったときには、全開に近いところから走り出すことができます。
中西:以前はスポーツ走行の枠を抑えるのも苦心しました。
月に一度取れるかどうか。
その枠を慣らしだけで使うというのがとてももったいないと感じていましたから、そのサービスはとてもいいですね。地方の方々にもメリットがあると思います。
大内田:オペレーターにはお金がかかりますが、セットだけして、慣らしをしていただけば走行と同じ価格ですからね。
ここですべてのチェックの類は終わらせて、サーキットでの慣らしは最終的になくしていきたいと思っているんです。
速度差もありますし、危険ですからね。
また、初期トラブルをなくし、心配や不安を取り除いた状態で走り出せるというのはライダーにとっては大きなメリットになると思います。
特に250ccクラスのレースでは、サイレンサー、とはいえパイプでほぼ決まるわけですが、その特性がバイクの最終的なセッティングを決めると言っても過言ではありません。
ダイナモを使ってある程度マフラーをチョイスしておき、ダイナモでの数値だけでは分からない部分を実走で確認してもらって、セッティングパーツのひとつとしてサイレンサーをレンタルするということもやり始めているんですよ。
中西:お試しマフラーという発想は素晴らしいですね。
買う側にとっては決して安い買い物ではないですし、全部買って試すというのは不可能です。
それはオーテックの自社ブランドの強みですし、とても面白い試みだと思います。
まずは鈴鹿サーキットを走る人たちがターゲットになりますよね?
大内田:中古での購入もできますし、オーダーメイドで作ることもできます。
レースに関しては、私が「モトチャレ!!」、「FUN & RUN」、「鈴鹿サンデーロードレース」でアドバイザーをやっていますので、ブリーフィングでは必ず皆さんの前に座っています。
私の顔を知っている方も少なからずいらっしゃると思いますので、そういう部分も生かしてやっていけたらと思っています。
中西:私がレースでNSRに乗っていたころ、チャンバーひとつ買うにも悩みました。
どれを買おうか分からない部分もあるんです。
そういう場合に試せるというのは最高だと思いますし、他社との大きな差別化にもなりますよね。
大内田:前パイプなどもうちにはありますが、さまざま使っていただいて、もちろん後ろ側だけでも構いませんし、買った後でも弊社の方でその特性を変えることができますからね。
例えばJP250カップのCBR250RRに最初についてくるHRCのマフラー(カップ用)もどのくらい乗り手に合うか、また、このマフラーからさらにどこを目指すのかというのはそれぞれに違います。
もちろん、中低速がしっかり出ていて、誰もが乗れるようにできていますし、最終的にいろいろなマフラーがあるなかで、佐野勇斗選手が昨年の最終戦で勝った際のマフラーはHRCと同等のものだったりもします。
キットのマフラーのままでも勝てますし、使い方によってどれがいいということもないのですが、そこからさらにどうにかしたいという乗り手の思いも理解しながら、何かお手伝いをしたいと思うんです。
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