「モノづくり」だけではない「コトづくり」と自社のストーリーを届けたい。
2018/10/22
数値だけでは分からない、人間の感覚を読み取る
中西:レース業界に長く身を置いている大内田さんですが、サプライヤーとして、現在までどんな経緯があったのか教えてください。
大内田:2004年前後に、大型のバイクが1000ccに各社リニューアルするタイミングがありましたよね。
そのころに、ここに引っ越してきて、ホンダCBRでレースを始めました。
そのときに初めてオリジナル商品の製作をスタートしたんです。
それ以前は、P'S Supply(ピーズサプライ)さんでカワサキのZX-9Rに乗ってレースをしていたこともありました。
レースをやってきましたから、仲間からマフラーを作ってよという要望も多く、供給を始めて現在に至っています。
中西:レースでの経験があるというのは、製品開発にとってアドバンテージになると思うのですが、実際はどう感じていますか?
大内田:リーマンショックの前後、やはり商売を見直す必要があり、現在はオリジナルの製品だけでなくOEM展開も見直して、自社ブランドとOEMの両輪でやっているのですが、サイレンサー製作を始めたとき、オーダーメイドをやっていたんですね。寸法をお客さまに決めてもらって、それを製作する。
中西:ワンオフに近いものということですか?
大内田:そうです。いまでもその流れが強いですね。
例えばCBRドリームカップでのマフラー供給をしていた際には「どうしたら速く走れるのか」ということを追求してきました。
シャーシダイナモで測定したものに対して、すぐにバイクに乗り、周りの人たちに供給して、それがどうだったかという声を聞き、作り直すということを何度も繰り返す。
ユーザーは初心者からレースで優勝するような人までさまざまで、いろいろなライダーがいます。
それぞれのライダーにとって、必ずしも全部同じマフラーがいいというわけではないんです。
そこで、前部のパイプ2種類、サイレンサーの長さは180 / 200 /250 / 280 / 300 / 350 / 400(mm)と7種類製作しました。
もちろん短くなれば、高回転型になりますが、下が使えなくなる部分もあり、一長一短です。そういった部分をお客さまのリクエストに応えながら、スピーディに供給することができるのは、レースでの経験があるからだとは思います。
作ることと同時にどんなサイズでも内径でも、こちらから提案することができますから。
中西:それはすごいですね。以前レースで600ccに乗っていましたが、メーカーにフィードバックし、同じようにやりとりが直接できたら、実際に走る自分にとっても大きなメリットになったはずです。
大内田:いまのサイレンサーはいろいろなバリエーションがあります。
長さ、内径の違いなど複数の種類があって、同じ1000ccでも特性が違うんですよね。
そういう部分をもっとお伝えしながらものづくりをしていけば自分の強みになると考えています。
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