かゆいところに手が届く「気遣い」こそがメイド・イン・ジャパン。
2019/02/18
中西:J TRIPといえば「スタンド」というイメージがあります。実際のところ、いかがでしょうか。
森:メンテナンススタンド、ビードブレーカー、ホイールバランサーとお客さまが3種類いてましてね。バルブ修理のとき、タイヤを外し、マフラーを外し、ホイールを外し……っていろいろ大変でしょう? 大きなバイクだけじゃなく“原チャリ”でも、ビードブレーカーを使ってバルブ交換できるんです。でも、基本的には大きなお店、バイクショップくらいしか用事がない。自転車屋さんが少し大きくなったようなところだと、持っていないことが多いですね。
ホイールバランサーは、ビッグスクーターでもバランスを取れます。バイク屋さんで、タイヤ交換をしてもらって、「ホイールバランスも取っておきましたー!」って言うたらかっこええやろ?(笑)2秒でできるもん。ただ、漠然とそういう製品があることは知っていても、実際には使ったことがない。
僕らは、動画もありますし、口頭で説明するよりも見てもらえれば早いですから、商品を置いてもらう場合なんかもムービーを見てもらえるようにしたりします。
スタンドは誰でも知っている。でも、お店のスタッフの方も含め、販売している方も、実際に自分でスタンドをかけたことのない人が多いんですよ。誰もが知っているのにやったことがない。
中西:僕らのようにレースをやってきた人間からすると、それがイメージできないんですよね……。
森:レースには関わることがあっても、皆知らないでしょ。レースしてない人にとったら、バイク倒してしまったらもう大きなショックになる。でも、レースの人たちはそんなこと関係ないですから(笑)。V字のスタンドでね、スマートに上げられればかっこいいけど、皆怖いからそーっとやるんです。CBR1000RRなんかもね(笑)。でも、うちの商品はハの字になっていて、スイングアームが外側に開いているそれよりもさらに開いていて、上げた瞬間に閉じるようになってるんです。
中西:芸が細かいですよね。
森:決して難しい技術じゃないんです。これってね、商品そのものよりも「ノウハウ」なんですよ。展示会なんかでも、商品を見せるときにムービーをね、見られるように併せて展示しておくじゃないですか。よくあるムービーはそれなりの長さがあって、紹介している商品が何なのか、何分見てないとアカンの?ということになる。だからうちのムービーではタイトルがしっかりと出たままの状態にして、とにかくお客さまの足を止めるということをね、したいと思ってやっていたりしますね。
中西:展示会でやっていたのはそういう意味があったんですね。
森:タイトルを出しっぱなしにしておけば、誰でもわかる。何の商品のことかすぐにわかるんです。「フロントスタンド、折りたたみ式」とかね。
あるとき、お客さまから電話があったんです。
「スタンド買ったんですけど、立たないんです。」
おや……単独では立たないです(笑)。まずそこからなんですよ。買う前にムービーで予習してもらうことができる。ロング、ショートタイプでそれぞれどう違うなんてことも、口頭では説明しにくい。それを見た上で電話をくださいと。
そこから電話をもらっても、「タオル敷いときなはれや。バイク傷になるから」ってね。やったことのない人にわからないけれど、必要なことっていうのもあります。
我々は知りすぎているから逆に何がわからないかがわからない。でも皆は知らないんです。
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